Q-mang’s blog

~ ピアノ、サッカー、中国語、その他 ~

(後編)日本人補習校の先生 ~ 中国蘇州 ~

はじめに

こんばんは。Q-mangです。

昨日の続きです。僕が蘇州で日本人補習校の先生になってからのお話です。

 

1.たいちくん

授業自体は7-8名程度の小学生(僕は3,4年生を担当)に国語、算数をメインに教えることで、1日に3時限設けられていました。3時限の内1時限は2-3名の中学生に日本史を教えることになりました。毎回子供たちのお母さんが教室の後ろで見学している状態での授業です。まあやりづらかったです。あと、先生になって苦労したことは、最初は見た目がちゃらい先生に緊張していたようで、静かに授業を受けてくれていましたが、数回の授業を経ると慣れてきたのか、小学生3,4年生クラスが授業中におしゃべりしたりし出すようになりました。そのなかでも「たいちくん」は飛びぬけてうるさくてやんちゃでした。

2.首根っこつかみ事件

そんなある日僕がいまでも忘れられない事件が起こりました。(起こしました)

国語の授業中に例の「たいちくん」がなんと地べたで寝転びだしたので。最初のうちは「椅子に座るように」と注意し一度は座るのですが、また寝そべり出すんです。たいちくんのお母さんも心配そうに教室の後ろでその様子を見ていたのは僕も気づいていました。「座らないと教室から出て行きなさい」と言うと座るんですが、数分後になんとカバンからカード(当時流行っていた遊戯王かなんかのカード)を取り出して一人で遊び出しました。当然取り上げたのですが、「また買ってもらうからいいもん」と平然と言うんですね。

その時でした。。。

ソフトドレッドでデニムを腰履きしている、いかつい大学生がきれてしまったんです。ホワイトボードを手でおもいっきり「バンっ」とたたき。「ふざけんな!!」大声でたいちくんに近寄り、なんと首根っこをつかんで、ホワイトボードに押し付けたんです。さぎすがに彼もびびってしまい、ぶるぶる震えて小さな声で「ごめんなさい」となりました。他の生徒もそんな僕にびびってしまい、その後の授業は淡淡と進んだ(進めた)ことのみ記憶しています。

3.後悔の極み

僕の人生の中でTOP3に入る程の後悔でした。怒るのは怒るでも、確実に感情に任せて手を出し、正味の話、憎しみを抱いて怒ったのは事実です。その日の授業終了後、他の先生が帰宅しようとしても僕は椅子に座り込み、かなりへこんでいました。「なんてことをしてしまったんやろ、小3相手の子供相手に、しかもバイト先生として雇われているだけの僕が。。。」まあ、泣きそうでした。泣いていたかも知れません。

4.本当にありがとうございます

他の先生が先に帰ってしまい、立ち上がれない僕のもとに 先ほど首根っこつかんだ「たいちくん」のお母さんがやって来ました。僕は「ああ、謝らなきゃ」と思いましたが、次の瞬間お母さんから「XXX先生、本当にありがとうございます!!本当に本当に」と何故かそのお母さんが泣きそうな声で僕に礼を言ってくださるんです。

 

 

「ん!どういうこと?」

5.感謝の理由

後悔の念に押しつぶされそうになっている僕がなぜお母さんから感謝されたのか、その後のお母さんのコメントから分かりました。たいちくんのお母さんは性格もおだやかでなかなか息子を怒らない(怒れない)とのことで、お父さんも仕事ばかりで家での接点も少なく、たいちくんを怒らないとのことです。よって、お母さんもかなり甘やかして育てていることを自覚されているということで、僕が首根っこをつかみ、本気で怒っている姿を見て感動に近い感謝の気持ちを持たれたようです。

6.学んだこと

感情にまかせて、勢いで手を出し怒ったことは、お母さんに感謝されるようなことではなく、申し訳ない気持ちが今でも変わりませんが、この一件で学び、その後の僕の人生でも度々教訓として出てくるのは「何事も本気で立ち向かう、それをしなければ多かれ少なかれ本気で取り組んだ結果出てくる後悔よりも大きな後悔が残る」です。

1年の留学を終えようとしている僕がその補習校での最終日、そのたいちくんが直筆で汚い字でえらく長い手紙をくれたのも良い思い出です。

おしまい。